top of page

本に挟む「しおり(栞)」の語源。もともとは山道で使われていた言葉の歴史

本を途中で閉じるときに、どこまで読んだかの目印として挟む「しおり(栞)」。 現代では、紙やリボン、プラスチック製のものなど、本専用の道具としておなじみですが、そもそもなぜこれを「しおり」と呼ぶのでしょうか。

実は、この言葉のルーツを歴史的に紐解いていくと、もともとは本とは全く関係のない、大自然のなかで使われていた「実用的な技術」が由来であることが分かります。今回は、言葉の誕生と漢字の仕組みについてシンプルにご紹介します。


①語源は山道で迷わないための「枝折り(しおり)」

「しおり」という言葉の語源は、山林を歩くときの行動を表す「枝折り(しおり)」という言葉にあります。

昔の人々が道のない深い山奥に入るとき、帰り道で迷子にならないように、通り道の木の枝をポキポキと折って目印(サイン)にしながら進みました。この「木の枝を折る」という行為そのものが、やがて山道の目印を指す「しおり」という言葉に変化したのです。

これが時代の変化とともに、本を読む人が「物語の途中で迷子にならないための目印」として紙などを挟むようになり、その道具の名前として「しおり」という言葉がそのまま受け継がれました。


②「栞」という漢字の仕組みと意味

しおりには「栞」という漢字が使われます。この文字の構造にも、明確な理由があります。

「栞」という漢字を上下に分解すると、上部に「一」を伴う「开」のような形が2つ並び、下部に「木」という文字があります。

  • 上部の並んだ文字は、「きれいに切り揃えられた、平らな板や削り木」を表しています。

  • 下部の「木」は、文字通り「樹木」を表しています。

つまり「栞」という漢字は、「木を削って作った、平らな目印用の板」という形をそのまま表した文字(会意文字)です。山道での「枝折り」という言葉の響きに、この「木で作った目印の板」という意味を持つ漢字が当てはめられ、現在の「栞」という表記が定着しました。


まとめ:道標(みちしるべ)としての共通点

このように歴史を見ていくと、山の「しおり」も、本の「しおり」も、どちらも「迷わないための目印(道標)」という、全く同じ役割を持っていることが分かります。

効率やスピードが求められる現代において、まずはスマートフォンを置いて、お気に入りの1冊を手にとってみる。そして、読みかけのページにそっと「しおり」を挟み、また次の機会にそこから言葉の探索を始める。そんなシンプルな道具の歴史に少し目を向けてみるだけで、読書といういとなみが、より確かで興味深いものに感じられます。

コメント


© 2026 nijiiro-book

bottom of page